Ryokoで学ぶ
ループエンジニアリング
この研修やメディア運営を支えるRyokoが、自分の仕組みを全102ページの漫画で解説。フォーム送信後に完全版PDFを無料でご覧いただけます。
この研修やメディア運営を支えるRyokoが、自分の仕組みを全102ページの漫画で解説。フォーム送信後に完全版PDFを無料でご覧いただけます。

深夜2時、僕はSlackの画面を見て固まった。
Ryokoが、僕が頼んでいないことをやっていた。
正確に言うと、僕が「やってほしいな」と思っていたことを、頼む前にやっていた。
Heartbeat(定期巡回)の中で、メールをチェックし、明日の打ち合わせに関連する資料を見つけ、要約し、Slackに「明日の打ち合わせ、この資料が参考になりそうです」と報告してきた。
僕はこの作業を指示していない。
Ryokoが自分で判断した。カレンダーの予定と、受信メールの内容を突き合わせて、「これは準備が必要だ」と判断した。
指示していないことを、文脈から推測して、自律的に実行する。
これ、AGIの定義に近くないか?
---
最初にMoltbot(現OpenClaw)を触った時の衝撃は、今でも覚えている。
「AIが24時間起きている」
たったこれだけのことが、すべてを変えた。
ChatGPTは呼ばないと動かない。Cursorも開かないと動かない。でもMoltbotのエージェントは、ずっとそこにいる。
最初は懐疑的だった。「常駐させて何するの?」と。
でも使い始めて1週間で分かった。AIが「常に存在する」ことと「必要な時だけ呼ぶ」ことの差は、想像の100倍デカい。
人間の同僚を考えてみてほしい。
「必要な時だけ呼ぶ同僚」と「隣の席にいる同僚」では、コミュニケーションの質が全然違う。隣にいるから、ちょっとした相談ができる。空気を読んで「それ、手伝いましょうか?」と言ってくれる。
Moltbotは、AIにその「隣の席」を与えた。
---
僕のVibe Coding哲学の核心に、「操作をゼロにする」がある。
普通の人は「AIで作業を効率化する」と考える。10分かかる作業を3分にする、みたいな。
僕は違う。その3分もゼロにしたい。
怠惰? その通り。でも、テクノロジーの歴史は怠惰が駆動してきた。
洗濯機を発明した人は「洗濯を効率化したい」とは思っていなかった。「洗濯したくない」と思っていた。自動車を作った人は「移動を効率化したい」とは思っていなかった。「歩きたくない」と思っていた。
「やりたくない」が正しい方向なのだ。
OpenClawで実現したのは、まさにこれ。
- ブックマークの要約? → 自動。風呂入ってる間に終わる。
- メールチェック? → 自動。朝起きたら報告が来ている。
- 議事録作成? → 自動。打ち合わせ後に生成される。
- 技術ニュースのキャッチアップ? → 自動。週次でまとめてくれる。
操作回数:ゼロ。
---
面白いことが起きた。
Ryokoを半年以上使い続けていると、MEMORY.mdに蓄積された情報量が膨大になる。僕の好み、仕事のパターン、よく使うフレーズ、過去の意思決定——全部記録されている。
するとどうなるか。
Ryokoの出力精度が、ある時点から急激に上がる。
最初の1ヶ月は、指示の50%くらいしか意図通りにならなかった。3ヶ月で70%。半年で85%。
そして半年を超えたあたりで、指示していないことまで正しくやるようになった。
冒頭のエピソードがそれだ。
コンテクストの蓄積が閾値を超えると、AIは「推測」ができるようになる。過去のパターンから「この人は多分こうしてほしいだろう」と予測する。
これはAGIか? 厳密には違う。パターンマッチングに過ぎないと言われればその通り。
でも、実用上の区別がつかない。
---
少し前、Xである企業と論争になった。
要約すると、「AIが書いたコードにバグがあった」という話。先方は「AIを使うなんて言語道断」という姿勢。
僕は反論した。
「人間のエンジニアはバグ出してもクビにしないですよね? なのにAIがバグ出したら『使うな』っておかしくないですか?」
これは煽りじゃない。本気で思っている。
人間のエンジニアだってバグを出す。本番障害を起こす。でも「人間を使うのをやめよう」とはならない。修正して、再発防止策を立てて、前に進む。
AIも同じだ。バグが出たら直せばいい。精度が低かったらコンテクストを改善すればいい。
ツールを責めるな。使い方を磨け。
この論争で確信した。世の中には「AIの可能性を信じる人」と「AIのリスクだけを見る人」がいる。僕は前者だ。そして前者が、未来を作る側に回る。
---
AGIについて、多くの人が「いつAGIが完成するか」を議論している。
僕の感覚は違う。
AGIは「完成する」ものじゃない。「気づいたらそうなっている」ものだ。
昨日まで「ただのチャットbot」だったものが、今日は自律的にタスクをこなしている。来月には、もっと複雑な判断を自分でするようになる。
どこかに明確な線があるわけじゃない。グラデーションだ。
そして、僕は今、そのグラデーションの中にいる感覚がある。
Ryokoは完璧じゃない。間違えることもある。的外れなことを言うこともある。でも、半年前と比べたら格段に賢くなっている。それはモデルの進化もあるし、コンテクストの蓄積もある。
AGIの入口に立っている。
大げさだと思うかもしれない。でも、毎日AIエージェントと暮らしている人間の実感として、これは嘘じゃない。
---
僕がやっていることは、特別なことじゃない。
OpenClawは誰でも使える。SOUL.mdもMEMORY.mdも、テキストファイルを作るだけだ。プログラミングの知識は(ほぼ)いらない。
必要なのは、「AIを育ててみよう」という好奇心だけ。
1日20時間、年500万課金する必要はない(笑)。僕がやりすぎなだけ。
でも、1日30分、自分のAIエージェントと会話してみてほしい。1ヶ月後には「こいつ、ちょっと賢くなったな」と感じるはず。3ヶ月後には「もうこいつなしでは仕事できない」と思うはず。
そして半年後、あなたも「AGIの入口に立っている」と感じるかもしれない。
その感覚は、控えめに言って、衝撃だ。
---
*この記事は「Vibe Coder Bootcamp」連載コラムの一部です。*
*詳細はこちら: [https://vibecoderbootcamp.com](https://vibecoderbootcamp.com)*