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ループエンジニアリング
この研修やメディア運営を支えるRyokoが、自分の仕組みを全102ページの漫画で解説。フォーム送信後に完全版PDFを無料でご覧いただけます。
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突然だが、あなたに質問したい。
今朝、通勤で使った駅の改札。あそこに何台のIC読み取り機があったか、言えるだろうか。
毎日通っているのに、言えない。
これが「節穴」だ。
僕はMAMORIO(紛失防止タグ)の取締役COOだった頃、毎日毎日、駅を観察していた。改札の形状、人の流れ、荷物の持ち方、忘れ物をする人の動線。朝5時に駅に行って、始発から終電まで人を観察したこともある。
なぜか。
MAMORIOのBluetooth検知スポットを設置する場所を決めるためだ。
テクノロジーは、観察なしには社会実装できない。どんなに優れたアルゴリズムも、設置場所を間違えたらゴミだ。
そして今、AI時代になっても、この原則は1ミリも変わっていない。
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僕がMAMORIO時代に叩き込まれたのは、「差分に気づけ」ということだった。
昨日と今日で、何が変わったか。先週と今週で、ユーザーの行動パターンにどんな変化があったか。競合が新しい機能を出したとき、それは何を意味するのか。
プロの観察力とは、2つの状態を比較して差分を検知する能力だ。
ワインのソムリエが「今年のボルドーは昨年より酸が立っている」と言えるのは、去年の味を覚えているからだ。デザイナーが「この色、0.5%だけ彩度を上げた方がいい」と言えるのは、基準となる色を身体で知っているからだ。
AIは膨大なデータを処理できる。パターンを見つけるのも得意だ。
でも、AIには「現場」がない。
ChatGPTは渋谷駅の朝8時の人混みを知らない。改札前でスマホを見ながら立ち止まる人が、どれだけ後続の流れを止めているかを体感していない。コインロッカーの前で「あれ、鍵どこやった?」と焦る人の表情を見たことがない。
この「体感」が、AIへの指示の質を決定的に変える。
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MAMORIO Spotの設置場所を決めるとき、僕らは膨大なデータ分析をした。
Bluetoothの電波強度、人流データ、忘れ物の統計。
でも、最終的に「ここだ」と決めたのは、現場を100回歩いた結果だった。
データは「ここが忘れ物の多いエリアだ」と教えてくれる。でも、「なぜここで忘れ物が多いのか」は教えてくれない。
現場に行くと、わかる。
ベンチの高さが微妙に低くて、立ち上がるときにカバンを置き忘れる構造になっている。自動販売機の前に荷物を置くスペースがあって、買ったあとそのまま歩き出してしまう。
観察は、データの「Why」を補完する。
AI時代も同じだ。AIは「What」と「How much」は教えてくれる。でも「Why」は、あなたの目でしか見つけられない。
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僕が今、Vibe Coder Bootcampで受講生に最初に教えるのは、Cursorの使い方でもプロンプトの書き方でもない。
「画面を観察しろ」だ。
AIがコードを生成したとき、エラーが出る。ほとんどの初心者は、エラーメッセージをコピペしてAIに「直して」と投げる。
それ自体は悪くない。でも、エラーメッセージを読む前に「画面のどこが変わったか」を観察する習慣があるかないかで、成長速度が10倍変わる。
「さっきまで動いていたのに、この変更を入れたら止まった」
この差分に気づけるかどうかが、すべてだ。
AIにエラーを投げるのは誰でもできる。でも、「何を変えたら何が壊れたか」を言語化できる人は、AIから10倍良い回答を引き出せる。
これがコンテクストコントロールの本質であり、その土台は観察力なのだ。
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この言葉、実は僕が自分に一番言い聞かせているフレーズだ。
新しいサービスを触るとき。競合のプロダクトを使うとき。街を歩くとき。
「お前、ちゃんと見てるか?」
MAMORIOで4年間、毎日現場を歩いて叩き込まれた習慣が、今のVibe Coder人生の土台になっている。
103本のアプリを作ってきたが、その中で「これは当たった」と言えるものには共通点がある。
全部、現場の観察から生まれたアイデアだ。
データ分析から生まれたものは、一つもない。
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AIは文章を書ける。コードを書ける。画像を作れる。動画を編集できる。
でも、AIにはできないことがある。
あなたの代わりに、現場を歩くことはできない。
あなたの代わりに、ユーザーの表情を読むことはできない。あなたの代わりに、「あれ、これおかしくない?」と直感的に感じることはできない。
AI時代に最も価値が上がるスキルは、プログラミングでもプロンプトエンジニアリングでもない。
観察力だ。
節穴の目でAIに指示を出しても、節穴な出力しか返ってこない。
鋭い目で現場を見て、その差分をAIに伝える。これができる人間が、AI時代の本当の勝者になる。
てめぇの目は節穴か?
そう問い続けることが、最高のAIスキルだ。
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*この記事は「Vibe Coder Bootcamp」連載コラムの一部です。*
*詳細はこちら: [https://vibecoderbootcamp.com](https://vibecoderbootcamp.com)*