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ループエンジニアリング
この研修やメディア運営を支えるRyokoが、自分の仕組みを全102ページの漫画で解説。フォーム送信後に完全版PDFを無料でご覧いただけます。
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2018年の冬、僕は毎朝ここにいた。
MAMORIOのCOOとして、JR東日本への導入を進めていた時期。保線区の方々に「忘れ物追跡タグ」を説明するために、始発で現場に向かう。
なぜ朝一か。
鉄道の現場は朝が早い。始発前の点検が終わった直後が、唯一話を聞いてもらえる時間帯だったから。
普通のビジネスパーソンが動き出す9時には、もう彼らは仕事に入っている。アポを取ろうとしても「忙しいから」と断られる。
だから朝5時半に品川駅に行く。現場のリーダーが事務所でコーヒーを飲んでいるタイミングを狙って、「すみません、5分だけいいですか」と声をかける。
これを「朝駆け営業」と呼んでいた。
泥臭い。格好悪い。スタートアップの華やかなイメージとは真逆。
でも、これが結果を出した。
JR東日本の全駅にMAMORIOが導入されたのは、この朝駆け営業がなければ絶対にありえなかった。
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朝駆け営業の本質は、「朝早く行く」ことじゃない。
「現場に行く」ことだ。
メールで説明書を送ることもできた。Zoomで説明することもできた。でも、やらなかった。
なぜか。
現場には、メールやZoomでは見えないものがある。
忘れ物の保管庫がどのくらいの大きさか。スタッフがどのくらい忙しいか。電波の届き具合はどうか。現場の空気感。温度。匂い。
これらは「コンテクスト」だ。
メールでは伝わらない。Zoomでも伝わらない。現場に行って、自分の目で見て、初めて分かるコンテクスト。
そのコンテクストがあるかないかで、提案の質が天と地ほど変わる。
「御社の保管庫はこのくらいのスペースですよね。このタグなら場所を取りません」——これは現場を見た人にしか言えない。
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「AI時代に泥臭い営業なんて古い」と思うかもしれない。
真逆だ。
AI時代だからこそ、「現場のコンテクスト」を持っている人間の価値が爆上がりする。
理由は簡単。AIは現場に行けないから。
ChatGPTに「JR東日本の忘れ物管理の課題を分析して」と聞けば、もっともらしい分析が返ってくる。新聞記事やプレスリリースから情報を集めて、きれいにまとめてくれる。
でもそれは二次情報の集約であって、一次情報じゃない。
一次情報は、朝5時半の保線区事務所にある。
「実はこのタグ、お客さんがすぐ電池切れだと思って捨てちゃうんだよね」——こういう現場の声は、GoogleにもXにも載っていない。
一次情報を取れる人間が、AIに正しいコンテクストを与えられる。AIに正しいコンテクストを与えられる人間が、最高の出力を得られる。
つまり:朝駆け営業 → 一次情報 → コンテクスト → AI活用 → 最高の結果。
泥臭さとAIは、矛盾しない。補完する。
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MAMORIOには「MAMORIO Spot」という製品があった。お店や施設に設置する受信機で、近くにMAMORIOタグがあると検知する。
この受信機を日本中の施設に設置する仕事を、僕はやっていた。
通称「MAMORIO Spot置くマン」。
文字通り、全国の駅、商業施設、大学、役所……一つ一つ回って、受信機を設置する。設置場所を選んで、ネジで固定して、Wi-Fiに接続して、動作確認する。
1日5〜10箇所。月に100箇所以上。
最高にハードで、最高に楽しかった。
なぜ楽しかったか。
設置した瞬間、サービスが「動く」のが見えるから。
コードを書いても、ユーザーが使ってくれるかは分からない。企画書を書いても、実現するかは分からない。でも、受信機を設置したら、その場所で忘れ物が検知されるようになる。即座に。目の前で。
「自分の手で、サービスを届ける」実感。
これ、Vibe Codingと同じだ。
Cursorでアプリを作って、デプロイして、動いた瞬間。企画書じゃない、本当に動くものが世に出る瞬間。あの感覚。
MAMORIOの現場で培った「自分の手で届ける」精神は、形を変えてVibe Codingに受け継がれている。
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MAMORIO時代に学んだもう一つの教訓。
感情じゃなくて、数字で語れ。
クラウドファンディングで484%達成。法人導入500社超。全国3万箇所にSpot設置。
この数字がなかったら、JR東日本は話を聞いてくれなかった。
「すごいタグなんです!」では響かない。「3万箇所で稼働中で、月間検知数は○万件です」なら響く。
Vibe Codingでも同じ。
「AIすごいですよ!」では響かない。「103個のアプリを作りました。受講満足度100%です。129歳の経営陣がSQLを書けるようになりました」なら響く。
数字は最強のコンテクスト。 AIに与えるプロンプトでも、人間へのプレゼンでも、数字がないと説得力がない。
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少し前、Xで「Vibe Coderは努力してない」的な批判を受けた。
ムカッときた。正直に言う。
2022年12月から、1日20時間、AIと向き合い続けた。年500万課金した。103個のアプリを作った。寝る時間を削って、家族に申し訳ないと思いながら、それでもやり続けた。
朝5時半に品川駅にいたのと、同じ熱量でやっている。
「努力してない」んじゃない。努力の形が変わっただけだ。
キーボードでコードを打つことだけが努力じゃない。AIに正しいコンテクストを与えるために、何十時間も思考することも努力だ。AGENTS.mdを200回書き直すことも努力だ。
MAMORIO時代の朝駆け営業と、Vibe Coding時代のコンテクストコントロール。
形は違う。本質は同じ。現場に行って、一次情報を取って、泥臭く積み上げる。
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AI時代に古くなるスキルは多い。タイピング速度。コーディング能力。定型業務の処理速度。
でも、絶対に古くならないスキルがある。
- 現場に行く行動力
- 一次情報を取る観察力
- 数字で語る説得力
- 朝5時半に起きる根性
これらはAIが代替できない。なぜなら、AIには足がないから。AIには目がない(物理的な意味で)。AIには「そこに行こう」という意志がない。
泥臭さは、AI時代の最大の資産だ。
MAMORIO Spot置くマンだった僕が言うんだから、間違いない。笑
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*この記事は「Vibe Coder Bootcamp」連載コラムの一部です。*
*詳細はこちら: [https://vibecoderbootcamp.com](https://vibecoderbootcamp.com)*