Text is KING:テキストを制する者がAI時代を制する

断言します。
AI時代に最も重要なスキルは、プログラミングでも、プロンプトエンジニアリングでも、デザインでもない。
テキストを与える力です。
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LLMの本質を理解しているか
ChatGPT、Claude、Gemini。名前は違えど、全部同じものです。
Large Language Model — 大規模「言語」モデル。
言語。つまりテキスト。
LLMはテキストを入力として受け取り、テキストを出力する装置です。画像も音声も動画も扱えるようになったけど、内部的にはすべてテキスト(トークン)に変換されて処理されている。
ということは、LLMの性能を最大限引き出すには、入力するテキストの品質を最大化するしかない。
これが「Text is KING」の意味です。
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テキストが下手な人は、AIも下手
厳しいことを言います。
「AIが使えない」と嘆いている人の大半は、テキストが書けない人です。
- 主語がない
- 目的が曖昧
- 制約条件が書かれていない
- 背景の説明がない
こういう指示をAIに投げて「全然ダメじゃん」と言っている。
でもそれ、AIの問題じゃない。あなたのテキスト力の問題です。
考えてみてください。部下に「いい感じにやっといて」と指示して、期待通りの成果物が返ってくることがありますか? ないですよね。人間相手でも無理なことを、AIにやらせようとしている。
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「Text is KING」が意味する3つのこと
1. AIへの指示はテキストで決まる
当たり前だけど、見落とされがちな事実。
ChatGPTに音声で指示を出す人もいるけど、その音声は内部でテキストに変換されて処理される。最終的にはテキスト。
だから、指示の質 = テキストの質 = AIの出力の質。
2. ドキュメントがAIの「記憶」になる
LLMには"基本的には"長期記憶がありません。最近メモリー機能などもあるし、OpenClawのような例外はあるけれど、基本的には毎回、あなたが渡したテキストだけが「世界のすべて」です。
ということは、ドキュメントを書く力 = AIに記憶を与える力。
要件定義書、AGENTS.md、README、仕様書。これらのドキュメントが、AIの「脳」に直接インストールされる情報になる。
ドキュメントが雑なら、AIの「脳」も雑になる。ドキュメントが精緻なら、AIは精緻に動く。
3. テキストは最も移植性が高いフォーマット
画像はモデルによって解釈が変わる。音声は文字起こしの精度に依存する。動画は処理コストが高い。
テキストだけが、どのモデルでも、どのツールでも、どの時代でも、同じように機能する。
Claude Code、Cursor、ChatGPT、Gemini。全部テキストで動く。テキスト力を鍛えれば、ツールが変わっても、モデルが変わっても、あなたの武器は陳腐化しない。
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具体的に「テキスト力」とは何か
抽象的な話はここまで。具体的に何ができればいいのか。
① 構造化する力
ダラダラ書くんじゃなくて、階層構造で書く。
```
❌ ログイン機能を作ってください。メールアドレスとパスワードでログインできるようにして、
パスワードを忘れた場合はリセットできるようにして、ログイン後はダッシュボードに
遷移するようにしてください。
✅ ## ログイン機能
### 認証方式
- メールアドレス + パスワード
### パスワードリセット
- メールアドレス入力 → リセットリンク送信
### ログイン後の遷移先
- /dashboard
```
マークダウンを使え。箇条書きを使え。見出しで構造を作れ。
AIにとって、構造化されたテキストは「読みやすい」のだ。人間と同じ。
② 制約条件を明示する力
「何をやるか」だけじゃなく、「何をやらないか」を書く。
```
制約条件
- フレームワーク: Next.js 14(App Router)
- 認証: Supabase Auth(他の認証サービスは使わない)
- デザイン: Tailwind CSS(独自CSSは書かない)
- データベース: Supabase PostgreSQL
```
制約を書かないと、AIは勝手に「最適」と思う選択をする。それがあなたの想定と違うと、手戻りが発生する。
③ 背景(Why)を書く力
「何を作るか(What)」だけじゃなくて、「なぜ作るか(Why)」を書く。
Whyがあると、AIはWhatの解釈精度が上がる。「ログイン機能を作って」より、「社内の営業チーム50人が使うCRMのログイン機能を作って。セキュリティより使いやすさを優先」の方が、AIは的確なコードを書く。
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テキスト力は「全方位」に効く
ここが重要。
テキスト力を鍛えると、AI活用だけじゃなく、仕事のすべてが変わる。
- メールが伝わるようになる
- 企画書の承認率が上がる
- 部下への指示が明確になる
- 会議の議事録が価値を持つようになる
- Slackのメッセージで誤解が減る
テキスト力は、AI時代の「読み書きそろばん」なのだ。
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129歳の経営陣が証明したこと
2026年、うちのBootcampに、社長65歳+副社長64歳の経営陣が参加しました。合計129歳。
PCが苦手。タイピングも遅い。プログラミングなんて触ったこともない。
でも、卒業しました。SQLを書き、OAuthを設定し、Vercelにデプロイした。音声認識まで独自実装した。
なぜできたか?
この方々は、テキスト力が高かったから。
40年のビジネス経験で鍛えられた「要点を簡潔に伝える力」「背景を構造的に説明する力」が、そのままAIへの指示力に転換されたのです。
プログラミングの知識はゼロでも、テキスト力があれば、AIは動く。
Text is KING。これは理論じゃない。129歳の経営陣が証明した事実です。

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テキスト力を鍛える最もハードな訓練
じゃあ、どうやってテキスト力を鍛えるか。
答えは、プログラミング(Vibe Coding)です。
なぜか。プログラミングは、テキストの曖昧さが一切許されない世界だから。
ビジネス文書なら「いい感じに」で通じる。でもプログラミングでは「いい感じに」は通じない。一文字でもエラー。一行でも矛盾があれば動かない。
この厳しさが、テキスト力を強制的に鍛える。
プログラミングでテキスト力を鍛えれば、ビジネス文書は余裕になる。企画書も、メールも、要件定義書も。
最高難度の訓練をクリアした者に、他のタスクは怖くない。
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次回は「要件定義で9割決まる」。AIへの最高の指示書の書き方を、具体例付きで解説します。