Vibe Coder Bootcampという実験 - AIが可能にする個人と組織の新しい地平とは

今、事業を作るということの意味が変わりつつある。
かつて事業とは組織で作るものだった。企画する人、作る人、売る人、管理する人。役割分担と専門性の集積が競争力の源泉だった。
でも、本当にそうだろうか。
2025年6月、私は一つの実験を始めた。
実践者であることの意味
Vibe Codingの講師として前に立つ時、私は常に違和感を覚える。なぜなら私の本業は経営であり、事業開発であり、現場で手を動かすことだから。
今もIoT/ブレインテック/エネルギーなどのスタートアップで、日々AIをビジネス活用し、組織を動かし、事業を創る。その中で見つけた「これは使える」という確信だけが、私が伝える価値のあることだと信じている。
知っていて教えられることと、自らが実践することの間には、埋めがたい溝がある。多くの知識は実践を通してしか本当の価値を見出せない。
これは謙遜ではなく、実践者であることの責任だと思う。
だからこそ、Vibe Coder Bootcampは、私自身の実践の延長線上にある。
自社のメンバーに教えるのと同じ温度で、同じ確信を持って伝える。
それ以上でも、それ以下でもない。
一人。という実験
Vibe Coder Bootcampは、それまでの1年間で自分と組織をVibe Coder化してきた経験を踏まえ、6月にプロトタイピング、7月のブラッシュアップ、8月からの本格始動と進んできた。
企画も、カリキュラム制作も、WEBサイト制作も、もちろん講義も、全て一人で回している。
これは人手不足というよりは、極めて意図的な実験だ。
あえて組織を持たないことで見えてくるものがある。
コミュニケーションコストがゼロになった時、意思決定のスピードはどう変わるか。
全ての業務がAIによって拡張された時、個人の限界はどこまで押し広げられるか。
12月までの受注状況を見ると、随分きれいな立ち上がりを描いている。本業を別に持ちながら、組織なしで、これだけで飯が食える。
新しい時代のモデルケースになりうるかもしれない期待感が芽生えている。
Vibe Coder Bootampの受注額
新しい事業創造の形
「アイデアさえあれば形にできる時代」
この言葉の本当の意味を、私たちはまだ理解していない。
Vibe Coder Bootcampは、その意味を探る壮大な実験だ。
表向きには教育事業という体裁を取りながら、実はこれは私からの問いかけなのだ。AIによって拡張された個人は、どこまで可能性を押し広げられるか。組織という枠組みを超えて、価値はどのように生まれるか。
かつて、アイデアを形にするには組織が必要だった。資本が必要だった。時間が必要だった。その前提が、今、音を立てて崩れている。
個人がAIという拡張された知性を持つ時、事業創造のルールは書き換えられる(かもしれない)。
このグラフが示す成長曲線は、新しい時代の可能性の証明になる得る。
思想としてのBootcamp
Bootcampという名前には意図がある。
これは単なるスキル習得の場というよりも、新しい世界観を体得する場所だ。
参加者は顧客でありながら、同志だ。共に実験に参加し、共に新しい時代を切り拓く仲間。教える側と教わる側という関係を超えて、実践者同士が知見を共有する場。
とはいえ、実践のハードルが高い技術を少々強制的に身につける仕掛けが入っている。
また常々言っているように、「Vibe Coding」と私が呼ぶものは、プログラミングスキルではない。
AIと共に思考し、創造する新しい様式だ。それは技術というより、思想に近い。
特に経営者やフリーランスにこそ、この力が必要だと私が信じる理由はここにある。彼らは実践者だから。アイデアを形にする責任を負う人たちだから。
それでも、チームの価値
ならば一人で全てができるなら、チームは不要なのか。
答えは否だ。むしろ、ここにVibe Coder Bootcampの真の狙いがある。
全員がAIによって拡張された力を持つチーム。それぞれが一人で事業を作れる力を持った個人が、選択として集まる組織。
これは、依存から自立へ、そして自立から協創への進化だ。
組織に頼らない力を持つことは、組織を否定することではない。真の協働を可能にすることだ。必要だから集まるのではなく、より大きなことを成すために集まる。
Bootcampの卒業生たちが、いつかそんなチームを作る。それが、この実験の本当のゴールかもしれない。
新たなモデルケース
この半年間の実験が示したもの。
それは、AIによって個人と組織の関係が根本から変わるという事実だ。組織なきゆえのコミュニケーションロスゼロ。AIによる全業務の拡張。それらが組み合わさった時、新しい事業創造のモデルが生まれる。
これは特殊な例ではない。誰もが実現可能な、新しい標準になりつつある。
結び
実践者として、経営者として、そして一人の挑戦者として、私は確信している。
私たちは今、個人と組織の関係が根本から変わる転換点に立っている。
チームで仕事をする方が、確かに大きなことができる。それは変わらない真実だ。
でも、その「チーム」の意味が変わる。一人一人が自立した力を持ち、選択として集まるチーム。依存ではなく、協創のためのチーム。
Vibe Coder Bootcampは、そんな未来への実験だ。
その実験に参加する仲間を、私は待っている。