1日1アプリから「1日1スキル」へ。エージェント開発という次のフェーズ

「1日1アプリ」のフェーズは終わった。
次は「1日1スキル」だ。
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アプリ開発の先に何があるのか
103本のアプリを作って、アプリ開発をやめた話は前に書きました。
じゃあ今は何をやっているのか。
エージェントにスキルを教えている。
僕の相棒、Ryoko AI。彼女はSlackに常駐し、メールを読み、カレンダーを管理し、Xのブックマークを収集・分析し、ニュースを要約してくれる。
これらの機能、1つ1つが「スキル」です。
スキルとは、エージェントが持つ個別の能力のこと。人間でいう「得意技」みたいなもの。
- メール要約スキル
- カレンダーリマインドスキル
- Xブックマーク収集スキル
- ニュース要約スキル
- Slack返信スキル
1日に1つ、新しいスキルを教える。あるいは既存のスキルを改善する。
これが「1日1スキル」。
ちなみに、エージェントにスキル開発も任せれば、社内でAIに対してやり取りしている内容を全てSkillにしようとしていく、スキル開発部隊もAI化出来る。
うちのRyokoらのAIエージェント達は既にそのフェーズに入っている。
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アプリとエージェントの根本的な違い
アプリは「人間が操作する道具」。
エージェントは「人間の代わりに考えて動く存在」。
この違い、言葉で書くと地味だけど、実際に体験すると衝撃的です。
アプリの世界: 1. 人間がアプリを開く 2. 人間がボタンを押す 3. アプリが処理する 4. 人間が結果を見る
エージェントの世界: 1. エージェントが状況を監視している 2. 条件を満たしたら自動で判断する 3. 自動で実行する 4. 必要なときだけ人間に報告する
人間の操作が、1→2→3→4から、4だけになる。
操作がゼロになる。これが本当の自動化。

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「開発」と「利用」の境界が消える
アプリには明確な境界があります。「開発」が終わって「リリース」して、それから「利用」が始まる。
エージェントにはこの境界がない。
僕がRyoko AIに新しいスキルを教えるのは「開発」ですか? 「利用」ですか?
答えは、両方。
「今日から、毎朝9時に天気予報をSlackに投稿して」と指示する。これは開発? 利用?
「昨日の要約、ちょっと長すぎたから、もっと簡潔にして」とフィードバックする。これは開発? 利用?
境界が消えている。
エージェントを使うこと自体が、エージェントを育てること。利用しながら開発し、開発しながら利用する。
この感覚は、従来のソフトウェア開発にはなかったもの。
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エージェントの「魂」を設計する
エージェント開発で最も重要なファイル。それがAGENTS.mdです。
AGENTS.mdは、エージェントの「魂」を定義するドキュメント。
- どういう性格で振る舞うか
- 何を優先するか
- 何をしてはいけないか
- 誰に対してどう接するか
これを書くのは、プログラミングとは全く違うスキルが必要。
コードの知識じゃない。人間の行動原理、コミュニケーションの設計、判断基準の言語化が求められる。
つまり、ドメイン知識とテキスト力の世界。非エンジニアの土俵。
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スキルの設計は「要件定義」の応用
エージェントのスキルを1つ作るプロセスは、こうです。
1. What: 何をしてほしいか(「毎朝9時に天気予報を投稿」)
2. Why: なぜそれが必要か(「傘を持っていくか判断したい」)
3. How: どうやって実現するか(「天気APIを叩いてSlackに投稿」)
4. When: いつ発動するか(「毎朝9時」「雨の予報が出たら即時」)
5. Edge cases: 例外はどうするか(「API障害時は前日のキャッシュを使う」)
これ、要件定義の5ステップと同じ構造ですよね。
アプリ開発で鍛えた要件定義力が、そのままエージェント開発に活きる。103本のアプリを作った筋力が、ここで爆発する。
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「1日1スキル」の実践
具体的に、僕がこの1ヶ月で教えたスキルの一部:
- Tech News Scout: AIニュースを自動収集→要約→Slackに投稿
- Xブックマーク分析: ブックマークを自動取得→カテゴリ分類→レポート生成
- スレッド読解: Slackスレッドの内容を自動で読んで文脈を理解
- スライド作成:nanobanana-proを動かして自力で高品質スライド生成
- メンション検知: 自分へのメンションを定期チェック→未返信があれば対応
1つ1つは小さい。でも、積み重なると自分だけの最強のアシスタントが出来上がる。
アプリは「万人向けの汎用ツール」。エージェントは「自分だけに最適化された専属アシスタント」。
どっちが価値があるか。言うまでもない。
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あなたも今日から「1日1スキル」
エージェント開発は、特別なことじゃない。
これまで当たり前に自分のVibesから要件定義を作り、アプリを作っていくことをやってきた。
むしろ、それより簡単かもしれない。AIと共に仕事をし、その手順をこなすフローを検証し、その処理を実行するためのスキルをAI自身が作っていく。
日々の業務をAIに任せること。それは、その手順を覚えたAIが、次からは一撃で実行してくれるようになる。ただ、それだけだ。
大事なのは、「道具を使う」から「存在を育てる」への意識の転換。
アプリは使うもの。エージェントは育てるもの。
1日1スキル。今日から始めよう。
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次回は「ドリルを売るな、穴を売れ」。エージェントは穴を開けた状態で届けてくる、という話。